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同行避難

同行避難

3月11日、当日私は横浜みなとみらいで開催されていた学会に出席していました。突然の長い大きな横揺れで、参加者全員が会場の外に避難しました。外に出ると、会場の隣の高層マンションがねじれるように揺れていました。しばらくして、会場に置かれたテレビの画像は、津波に飲み込まれる家屋や田畑の様子を映し出していました。大変なことが起こっていると思いましたが、その時はチェルノブイリに匹敵するような原発事故が起こっているとは想像もできませんでした。

私たち新潟県民は、中越地震と中越沖地震の大きな地震を2回も続けて経験しています。獣医師会では、震災後直ちに被災動物を保護するために現地で活動しました。小千谷では、他人の迷惑にならないように避難所の駐車場でペットと一緒に車中で避難する飼い主の姿が多く見られました。狭い車の中で長時間座って過ごすことにより、血液循環が悪くなり、血管内に血栓ができる、いわゆるエコノミークラス症候群で亡くなる方もいらっしゃいました。

ペットを家族の一員と考えることが当たり前になっています。災害で避難する場合は、ペットと同行避難できるよう、獣医師会では以前から行政に働きかけてきました。しかし、中越地震でも、中越沖地震でも、動物を受け入れてくれる避難所は1カ所もありませんでした。その後もねばり強く行政の方と話し合い、新潟市では災害で避難するときには必ずペットとの同行避難を認めるという取り決めを交わしました。

今回の東日本大震災で多くの方が新潟県内に避難してきました。新潟市でも、新潟市体育館、西総合スポーツセンター、豊栄総合体育館、亀田体育館の4カ所を避難所とし、それぞれにロビーや室内テニス場や室内ゲートボール場を動物専用の避難所として併設しました。福島県では避難所に動物を入れることができないため、新潟の受け入れ体制を耳にしてようやくたどり着いた方もいらっしゃいました。新潟県内に避難してきた動物の数は230頭以上にもなりました。

獣医師会では、保健所と動物愛護推進委員、それに新潟動物ネットワークの方と協力して毎日避難所を訪問して動物の健康管理を行いました。日が経つにつれ、徐々に避難所から二次避難所やアパートなどに移られる方も多くなり、最後まで活動していた新潟体育館も8月末で閉鎖になりました。4ヵ月以上も避難所で不自由な生活を強いられたにもかかわらず、我慢強く逞しく生き抜く東北の方々のねばり強さには敬服しました。新潟県民に共通する芯の強さを感じました。

また大きな震災が私たちを襲うかもしれません。避難するときはペットとの同行避難が原則です。しかし、避難先で動物と一緒に生活できるとは限りません。動物アレルギーの方や、動物を苦手とする方もいらっしゃいます。どうしても動物専用の部屋で管理することになります。その時に、ケージの中でおとなしくしていられるか、他の犬や猫と一緒に生活できるか、ペットシーツの上で排尿排便ができるかなど、団体生活ができるように日頃からしつけておく必要があります。

東日本大震災では、家に残された多くの動物が亡くなりました。いまだに家族を捜して放浪している動物もたくさんいます。どんなときも家族と一緒なら、人も動物も助け合って生きていくことができます。いざという時のために、考えてみてはいかがでしょうか。病院の待合室に同行避難のパンフレットを置いています。ぜひ来院の際にご覧になってください。

                                                        獣医師 西山栄一

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